診療所の経営・相続Q&A「院内ミーティング」
Q:自分の仕事しかしないスタッフもいれば、自分ですべて抱え込んでしまうスタッフもいて、困っています。どのようにチーム作りをしたらよいでしょうか。
A:開業した先生方が一番悩まれることは、人に関することではないでしょうか。スタッフの処遇について悩まれることもあれば、スタッフの働き方に対して悩まれることもあります。スタッフ同士反りが合わないこともあれば、片腕のようなスタッフが退職していくこともあります。そういった悩みを根本的に解決するために、いかにチームをつくるか、ということに心を砕かれている先生方も多いと思います。
院内ミーティングが、モチベーションアップの場に
チームがうまくいっているクリニックで、院内ミーティングに参加をさせていただくと、私も大変な気づき、学びをいただきます。多くの場合、話し合うテーマやそこで導き出される業務改善も重視されていますが、それ以前に、スタッフのモチベーションアップの場になっているように思います。
モチベーションアップとは、例えば次のようなことです。
①先生の想いを伝える
医療に対する思い、スタッフへの期待と感謝など、日頃の診察の中では伝えられない思いを、直接スタッフに伝えます。「思いを共有したい」という先生の気持ちが、スタッフにとっては重要なメッセージになります。
②スタッフが発言をする
日頃の業務については、スタッフ一人一人に発言してもらうことで、意見を言える場になります。「こうしてほしい」というスタッフの要望を聞く場ではなく、「こうしていきたい」という改善提案を出す場にしていくことがポイントです。
③一緒にお昼・お菓子を食べながら
ランチミーティングやカフェミーティングなど、メンバーと楽しい場を共有することも、チームとしての一体感、チームへの好感を生み出すためには重要です。
④役割を決めて積み重ねる
クリニックの場合、少ないメンバーで一人ひとりが重要なキャストです。ミーティングで出た意見は、実際にできることから一人ひとり役割を持ってもらい、小さな実践体験、小さな成功体験を積み重ねていくことです。小さなことでも続けていくことで、やがて一人ひとりにエンジンがかかっていくはずです。
プラスの雰囲気・風土が育まれれば、前向きに解決ができる
診療所に限らず、どのような職場でも、上司と部下、雇い主と職員では、お互いに本当に言いたいことは、なかなか言えるものではありません。しかし、口にはしなくても気持ちは伝わっている。院内ミーティングを地道に積み重ねる中で、そんなチームに少しずつ、確実に近づいていくのではないかと思うのです。
それぞれの職場・チームには、明らかに独特な、それぞれの雰囲気・風土があるものです。外から見れば明らかなのですが、中にいると、なかなか分かりません。そして、プラスの雰囲気・風土が育まれれば、仮に問題が起きたとしても前向きに解決ができ、また、その雰囲気・風土は、患者様へのサービスの品質にも直接繋がるのだと思います。
(2017年10月20日 医療事業部 主任 近藤みさき)
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事業形態
医療・介護
- 種別 レポート